Web小説-武装決起カード大決戦1-

Posted by Futatsubashi on 28th 9月 2009 in Second Life, 小説, 武装決起カード大決戦

知者がすでに千年も前に答えている問題を、無知な人は改めてまた得意げに提出するのだ。
-ヴォルフガング・ゲーテ『格言と反省』より-

「人類が魔界の門をこじ開けたその日から、二度とは帰れぬ黄泉の道に迷い込んだのだ。わかっていた、そんな事はわかっていたさ…」

かつて、アークと言う男がいた。
人類史上初めて、シャドー事件の渦中にいて生き延びる事の出来た唯一の男。
そして彼はもういない、全てを『そこに置いて』この世界と決別したからだ。

世界の空を紅蓮の炎で染め上げた『赤の日』。さながらそれはこの世の地獄だったように思う。
赤の日が何故起きたのか、今は多くは語らないが。この日を境に、ユーラシア、アメリカ、アフリカ、オーストラリア、南極大陸のいずれもが瓦解していった。
大地は悲鳴を挙げ、泣き叫ぶ。海は四海全て、見渡す限りを血の赤に染め上げた。そして、見上げればその空も!!

夢を、人々の希望を飲み込み、暗黒の時代はそのうねりを挙げた。
そんな時代にシャドー事件は起きたのだよ。

どうして、お母さんはいなくなったの?
どうして、私のお父さんはきえてなくなったの?

もう私は誰も愛さない。
そう、心が壊れていくだけだから…。

-武装決起カード大決戦イントロダクション-

世界が赤の色で染まったあの日、みんな消えていったよ。
文字通りの0、無、一言で言えば『なにもない』事が当たり前であるかのように。
さなか、誰だったかな。

勇壮に私の目の前に、夕日を背に立っていた少年がいたなぁ。
もうあの日には帰れないけれど、あの子の不気味な笑いと、今もなお私の頭の中で鳴り響く。
悲しい旋律のオルゴールの音色が忘れられない。

「あひゃぁぁぁぁー」
誰かが奇声をあげて、また一人消えていく。
誰かが?

違うみんなだ!!
「お母さんの言う事を聞いて、お父さんとこれに乗って逃げて!!」
母も消えた。

どんどん赤で染まる天地四海。
私はそこを後にした。

「10万の人間がここにいるんだ!!ここは安全なんだろう!!安全じゃなきゃ困るんだ!!この子は…」
空にも安息はなく、父も消えた。

今、世界が赤と白に包まれていく。
そうだ、もう眠ろう。
そうする事で楽になれるのだから。

「生きたいか?」
その時、誰かがそう言ったような気がした。
白から、青を取り戻していく赤に落ちていきながら私は助かった。

「社長お時間です」
「あぁ、わかっている。今度は私が世界全土をカードと言う名の微笑みで染め上げてやろう」

私が、あの日最後にみた勇壮な古代の壁画。
それだけが、私の今生きている存在価値。

変えてやろう、世界全土を再び悲しみのない時代に!!

-第一幕『ばら撒かれた手札』-

1942年、現ロシアイルクーツク地方。
ここに些か妙な一団が訪れる。

彼等こそが、後の世に世界を揺るがす事件となった『世界カード大戦』の引き金となった者達である。

「周囲の結界の力が弱く、か細くなりはじめている…。もはや限界なのか?結界その物が決壊しかけている」
「ははは、ズダーバン局長。それは全く笑えない趣味の悪いジョークですよ…」

黒衣の男、ゲイル・ズダーバンなる人物と、その取り巻き。
二十人はいるだろうか?だが、珍妙奇天烈なる光景はそれだけではなかった。

「あの驚愕すべき力を秘めた亜神と、局長御自らが施した電磁結界が諸刃のようにこうも脆く…」
「だが、ナインクローズもナチも動いてはいない。ましてや私以外の三皇もだ」

門だ、一つの赤く脈打つ、天を見上げる程に巨大な門がそこに鎮座していたのだ。
デビルズゲート九龍大結界。

一団の誰かがそう言った。
世界に百と八あると言う、この偉大な生きた門がデビルズゲート!!

この門のために、我々人類は今も続く戦いの歴史を開いてしまった。
門外不出の憎しみの門。

「キャプテン・クロウに悟られるな。ただちにこの門には再度の電磁結界をかける」

黒衣の宰相の指示が飛んだその時、デビルズゲートなる暗黒の門の周囲を覆い尽くした土塊が雪崩落ちた。

ゴゴゴゴゴッ!!
不気味な咆哮(ほうこう)の如き、雄叫びのような音(おん)を発し、それは崩れ落ちた。
そして我々人類の眼に、直視し難い光景が焼き付けられた。

これがはじまりだった。

「バルジオン!!悪魔の巨龍はこの地に…」
「そうだ、これがバルジオン。そして、こいつのもう一つの片割れは宇宙(そら)にいる!!」

土砂の壁面に張り付くように、土塊と一体化していたそれはバルジオン。
そうだ、そいつは悪魔の巨龍。決して外界には放つべきではない巨龍。
それがバルジオン。

一人。
一人、バルジオンなる巨龍に手を伸ばそうとした時の事だ。閃光が迸り、男を含めた数人が焼けて消えた。
跡形もなく、だ。

「キャプテン・クロウか!?いや、違う!!この攻撃は衛星軌道上からのものだ!!」

凍てつく大地に、煌々と。
闇夜に輝く光の単線は、いつまでも。
いつまでも輝いていた。

-つづく-

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